敏捷性(アジリティ)や俊敏性(クイックネス)とは何か?同じような意味に感じるこの2つの言葉は、それぞれ別の意味があり、トレーニング方法は全く別です。

敏捷性や俊敏性を高めることはスポーツ選手にとっても必須であり、コンディショニング向上には欠かせません。

特に俊敏性は“毎日”トレーニングしていないと低下しやすく、最大のスピードが発揮できなくなるため、パフォーマンス維持のためには必ず行う必要があります。

この記事では、

・敏捷性(クイックネス)、俊敏性(クイックネス)とは?
・敏捷性と俊敏性のトレーニング方法

などをパーソナルトレーナー歴12年の伊藤出(@izuru_style)が解説します。

 


敏捷性(アジリティ)とは

まず最初は敏捷性(アジリティ)について解説しますが、敏捷性の意味は以下の通りです。

敏捷性(アジリティ)=速さ×正確性

敏捷性(アジリティ【agility】)には、

速さ × 正確性

という意味があります。

文字通り「速さ」と「正確性」の要素が混ざったものを敏捷性と言いますが、よく紹介されているアジリティトレーニングの方法の1つにラダートレーニングがあるんですね。

ラダートレーニングというのは、はしごのような枠に対して様々なステップを行う方法で、以下のようなイメージです。

一般的にはこういった方法をアジリティトレーニングといいますが、実はこの方法はアジリティ(敏捷性)ではありません。

というのは、ラダートレーニングでは枠につまづいても減点や加点されないということはなく、正確性を必要としていないんですね。

正確性を必要とするとトレーニング方法には、

・反復横跳び
・Tドリル

などがあり、これらが敏捷性トレーニングに該当します。

反復横跳び=敏捷性

例えば反復横跳びをする場合、左右のラインを時間内にどれだけ多くステップできるか、という能力を測ることになります。

反復横跳び

このとき「ラインを越えなければ得点にならない」という“正確性”が求められつつ、「時間内にどれだけ多くステップできるか」という“速さ”の両方が求められます。

この2つの要素を満たす能力のことを敏捷性といい、英語では【agility】と言います。

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いずる

Tドリルも同じようなイメージで、Tの字に決められた順路をどれだけ速く正確に動けるかのタイムを計測します。

敏捷性(アジリティ)トレーニングの注意点

上記でお伝えしたような敏捷性トレーニングを行う場合、以下のようなことを注意する必要があります。

・ゆっくりな動きから徐々に速度を上げる
・簡単な動きから複雑な動きへ移行する

この2点を守ることが重要なんですね。

先ほども解説した反復横跳びを例で解説すると、まず最初に着地の仕方をインプットすることが必要です。

反復横跳びをする場合、まずは左右にステップをする中で「踝真下」で着地ができるようにゆっくりと繰り返していきます。

反復横跳び

足元の着地

いきなり速く反復横跳びを行おうとすると、ほとんどのケースでつま先で着地したり切り返す動作を行ってしまうんですね。

つま先で地面を切り返す

こういう着地になると回転する力が働くため、真横への動きでロスが発生して素早く動きづらくなります。

ですので、必ず最初の場面では「踝真下」で確実に着地ができるように、ゆっくりとステップを繰り返します。そして、ある程度確実にできると、次は重心移動の仕方を変えていきます。

重心移動を意識せずに反復横跳びをしてしまうと、足で踏ん張るような切り返しになります。

地面を踏ん張って切り返す

これだと切り返す局面でロスが生まれるため、素早い切り返しができなくなります。行ってほしいことは、動きたい方向へ先に重心を運ぶことです。

重心を先に移動させた状態

こうすると切り返しがスムーズになってより速く動くことができ、スポーツのさまざまな場面でも役立ちます。

この重心を先に運ぶという動作を正確に行うために、まずはゆっくりとした動作で行い、徐々にスピードを上げていきます。

そうすると、

・踝真下で着地をする
・重心を移動したい方向へ動かす

という2つのことが正確にできるようになり、その上で速くできるようにもなる。これが、敏捷性をトレーニングする上で重要になるんですね。

ですので先ほどもお伝えしましたが、敏捷性トレーニングを行うときは、

・ゆっくりな動きから徐々に速度を上げる
・簡単な動きから複雑な動きへ移行する

この2つを守ってトレーニングを進めていく必要があります。

では具体的に、敏捷性(アジリティ)を向上させるためには、どのようなトレーニングを行えばいいのでしょうか?

 

敏捷性(アジリティ)を向上させる3つのトレーニング方法

ここからは、実際に現場でも指導することのあるアジリティトレーニングを3つほどご紹介します。まずは最初は、先ほども解説した反復横跳びからお伝えしますね。

①反復横跳び

1、1m間隔に3つの目印を用意する
2、真ん中の目印に立つ
3、重心を運ぶように片側へステップ
4、逆方向へ重心を運ぶようにステップする
5、左右に重心移動を繰り返し、約20秒間行う

反復横跳び

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いずる

実際の現場では、毎日ウォーミングアップの中に組み込んで行うケースがよくあります。

②Tドリル

1、Tの字に目印を用意する
2、常に正面を向く状態で、各目印に向かって移動する
3、重心移動を行い、スムーズに身体を動かす
4、これを2~3回繰り返す

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いずる

こういったトレーニングは、特にサッカー選手のウォーミングアップの中でよく行っています。。

③ピッチャーのアジリティトレーニング

1、マウンドに立ち、投球動作を行う
2、バント処理のイメージでマウンドをダッシュで下りる
3、ボールを拾い、体重移動を適切に行う
4、1塁へ正確にボールを投げる

このように、それぞれの競技にあわせた形でアジリティトレーニングを行うことで、目的とする動作をより速く・正確に行えるようになります。

これが敏捷性(アジリティ)の本質になるんですね。では、もう一方の俊敏性(クイックネス)はどのような意味があるのでしょうか?

 

俊敏性(クイックネス)とは

俊敏性(クイックネス)は敏捷性とは異なり、1つの要素のみを指しています。

俊敏性(クイックネス)=速さのみ

俊敏性は、

速さのみ

を指す体力要素になります。

どのような「速さ」なのかというと、これは筋肉が最大スピードで収縮することに関係しています。

人間の筋肉には、主に2種類のタイプの筋肉があり、

・速筋:大きな力を発揮し、収縮スピードが速い
・遅筋:持久性に優れ、疲れにくい

などの特徴がそれぞれにあります。

一般の方の場合、それぞれの割合は大体5:5、もしくは6:4のような比率になっているそうです。

この割合に関係なく、速筋線維は毎日最大スピード(筋肉を最大スピードで動かすこと)を経験しておかないと、自分が持っている最大のスピードを発揮できなくなるんですね。

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いずる

わかりやすい例が、運動会でこけるお父さんですね。

元々同じ脚の速さの2人がいるとして、

・全然運動をしていない=脚の回転が遅くなって脚がもつれてコケる
・毎日全速力で走っている=最大スピードが発揮でき、速くスムーズに脚が動く

こういった違いは想像しやすいと思います。

スポーツ選手で言うと、

・走る
・投げる
・ボールを投げる
・ボールを蹴る

などの動作を行うと思いますが、これらの動作で日頃から最大スピードを経験させておかないと、自分が持っている最大スピードが発揮できなくなるわけです。

その「速さ」を“維持するため”に行う方法が俊敏性トレーニングであり、これが俊敏性が持つ意味になるんですね。そのために、俊敏性トレーニングは毎日行う必要があります。

この俊敏性のトレーニングによく活用されるのが、先ほど出てきたラダートレーニングです。

俊敏性トレーニング=ラダー

先ほどもお伝えした通り、ラダートレーニングは以下のはしごのような枠に対して、さまざまなステップを踏むトレーニング方法です。

ラダートレーニングの場合、さまざまなステップをより速くステップし、筋肉の最大収縮速度を経験することが目的になります。もし枠に足を引っかけてしまっても減点などにはなりませんよね。

つまり正確性は必要とせず、ただ速さのみを求めるということになります。これが俊敏性(クイックネス)トレーニングというわけです。

俊敏性トレーニングの注意点

では、俊敏性トレーニングを行う際は、どのようなことに注意して行えばいいのでしょうか?

リラックスして行うこと

一番のポイントは、

速く動こうとして、力み過ぎないこと

です。

最大スピードを発揮する上で重要なことは、リラックスしてスムーズな動作ができることなんですね。

力みすぎると動きが硬くなって動作が遅くなるため、リラックスした中で最大スピードを発揮できるようにラダートレーニングを行っていくことが重要です。

「速く!頑張れ!」などの声かけはNG

これは上記と似ていることで、チームでラダーをすると「速く!速く!」と言った声かけをしやすくなると思います。

声かけ自体は素晴らしいですが、ただ、こういた言葉がけは緊張や力みを生む可能性があります。

ですので、動きをせかすような声かけを避けて「リラックスしてスムーズに!」などの声かけをするか、声かけなしで行いましょう。

目的意識を持つこと

ラダートレーニングは、アップの一環として行うことになるため、どうしても流しがちになります。

ただ先ほども解説したように、

ラダートレーニングの最大の目的は「最大スピードの維持」

です。

ですので、最大スピードを発揮しなければ意味がありません。こういった意識を適切に持った上で、実践することが何よりも重要ですね。

種目間の休息時間もしっかりとること

もう1つの注意点は、種目の間隔が短くなれば、後半疲れて最大スピードが発揮しづらくなることです。

これも上記と同じで、最大スピードを発揮することが最重要なので、種目間などに休息時間をしっかりとって行うようにします。

現場では選手の状態を見ながらですが、20秒~1分前後空けることもあるので、このぐらいの時間を目安に休息時間を挟むようにしましょう。こういった注意点を守りながらラダートレーニングを行えば、

・自分が持つ最大スピードを発揮しやすくなる
・練習や試合で素早く動きやすくなる

などの効果が実感できると思うので、ぜひおさえておきましょう。

では具体的に、どのように俊敏性(クイックネス)トレーニングを行えばいいのでしょうか?

 

俊敏性(クイックネス)を向上させる7つのトレーニング方法

ここからは、7つの俊敏性(クイックネス)トレーニングの方法をご紹介しますが、実際に行うときは以下のようなものがあれば便利だと思います。

もしなければ、30cm間隔にラインを引いて、そのラインを踏むようにステップを繰り返してもらうとOKです。

①シングルステップ

1、枠に対して1歩ずつステップを踏む
2、腕も同時に動かし、できるだけ速くステップを踏む
3、これを2本行う

シングルステップ

②ダブルステップ

1、枠に対して2歩ずつステップを踏む
2、腕も同時に動かし、できるだけ速くステップを踏む
3、これを2本行う

ダブルステップ

③サイドステップ

1、ラダーの前に横向きに立ち、目印をまたぐ
2、真横にステップし、両足で目印をまたぐように進んでいく
3、これを2本行う

サイドステップ

④バックステップ

1、ラダーの前に後ろ向きで立つ
2、枠に対して1歩ずつステップを踏む
3、腕も同時に動かし、できるだけ速くステップを踏む
4、これを2本行う

バックステップ

⑤ダブルバックステップ

1、ラダーの前に後ろ向きで立つ
2、枠に対して両足でステップを踏む
3、できるだけ速くステップを踏む
4、これを2本行う

ダブルバックステップ

⑥ツイストジャンプ

1、ラダーの前に正面を向いて立つ
2、両脚を揃え、体幹は正面を向けておく
3、両脚を左右に捻りながら、1枠ずつステップを繰り返す
4、これを2本行う

ツイストステップ

⑦ジグザグステップ

1、ラダーの前に正面を向いて立つ
2、片脚を枠内に入れ、もう一方の脚は外に出す
3、次の枠では、脚を入れ替えるようにステップする
4、左右ジグザグに動くようにステップを繰り返す
5、これを2本行う

ジグザグステップ

この内容をアップで毎日行えば、より動きやすくなるので、ぜひ参考に実践してみてください。

ウォーミングアップの一連の流れは以下の記事で解説しているので、よかったらこちらも参考にしていただければと思います。

 

敏捷性(アジリティ)・俊敏性(クイックネス)とは?7つのトレーニング方法のまとめ

今回は、敏捷性(アジリティ)・俊敏性(クイックネス)とは?7つのトレーニング方法について解説しました。

・敏捷性(アジリティ)とは、速さ×正確性という意味がある
・俊敏性(クイックネス)とは、速さのみ
・それぞれの意味やトレーニング方法は異なる
・敏捷性トレーニングでは、ゆっくりから速く、簡単から複雑な動きへと移行する
・俊敏性トレーニングでは、力んで速く動かそうとせず、リラックスすることが重要

こういった内容をお伝えしていきました。

改めてこのように整理していくと、それぞれが持つ意味や方法が全く別ということが理解していただけると思います。

スポーツの現場では、こういった違いを理解しておかないとパフォーマンスに影響が出てしまうので注意が必要です。

今回の内容が少しでも参考になれば嬉しく思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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