「モデルさんが飲んでるって聞いたから、1日4リットルの水を飲んでます。」そう言っていた40代の女性。さまざまな不調を抱えており、その原因は水分の摂りすぎ。
1日1.5リットルまで水分量を減らすことで「体重が減る」「だるさが軽減」「不安感の軽減」など、さまざまな変化が顕著にみられたんですね。
水分を多く摂るから身体にいいわけではなく、目的に合った必要量を確保する。これがなによりも大事。
この記事では、
・1日4リットルの水を飲み続けた結果起こった身心の変化
・必要な1日の水分量
・1日4リットルの水を飲み続けた女性に指導したこと
などを、パーソナルトレーナー歴12年の伊藤出(@izuru_style)が実際に現場であった例をもとに解説します。
今回の記事の内容
1日4リットルの水を飲み続けた結果起こった身心の変化
現場で40代女性から身心の不調などついて相談を受けましたが、この原因に「水分の摂りすぎ」が考えられたんですね。
水分の摂りすぎで起こっていた身心の変化は、以下の通り。
心拍数がすぐに上がる
まず1つ目が、
少し動くだけで、心拍数がかなり上がる
ということ。
これはかなり顕著にみられましたが、簡単な体操を10秒程度行うともう息が切れ始める。数年前に乳がんの手術をされており、その影響かと思いましたが、実は違いました。
水分量を過剰に摂っていることで、
・自律神経のバランスが乱れる
・興奮状態になっている
・動くとすぐに心拍数が上がる
ということが起こってしまう。
実際に水分量を減らし、数日間お風呂やサウナで大量の汗をかいてもらうと、1週間後には明らかな改善が見られたんですね。
この方に限らず、水分量が多い方ほど心拍数が上がりやすい傾向にあります。
疲れやすくなる
2つ目が、
すぐに疲れてしまう
ということ。
クライアントさんは事務職をされているそうですが、1時間ぐらいするとかなりの疲労感に襲われる。体力がないからと思って運動しようと思っても、すぐに疲れて全然できない。
どうにもできないということで、僕のところに相談に来たそうです。これもやはり、水分の多さが問題。
・余分な水分が、体内にある
・水分を処理しようと体内が過剰の働く
・自律神経のバランスが乱れる
・血管などが細くなる
・循環が悪くなり、老廃物が体内に滞る
・疲労感が強くなる&疲れやすくなる
といったことが起こってしまう。
疲れやすさに関しても、水分を減らすことで一気に改善された症状の1つですね。
体重が増加
3つ目が、
体重が急激に増加する
ということ。
ご相談を受けたクライアントさんの場合、6ヶ月間ほど1日4リットル生活を続け、体重が9kg増加。加齢が原因と思っていたそうですが、違いました。
過剰に水分を摂ると、
・体内の水分量が増えて体重が増加
・体温が下がり、基礎代謝も大幅に下がる
・普段の食事量が同じでも体重が増える
ということが起こります。
しかも水分量を増やしたタイミングで疲労感が増し、疲れを癒すために「甘いもの」の間食が増加。その結果、体重が増えてしまったことがカウンセリングでわかってきました。
・体内の水分量が増加
・基礎代謝の低下
・摂取エネルギーの増加
・運動不足
これらが重なれば、当然体重は増えてしまいます。もちろん、過剰に水分を摂り続けるだけでも、体重増加は十分起こりえるんですね。
不安感の増大
4つ目が、
イライラや不安感の増大
です。
40代ということもあり、更年期障害かな?と思っていたそうですが、イライラや不安感が増した時期と水分量を増やした時期がかぶっていたんですね。
事実、水分量を減らすと不安感はほぼなくなりました。これも自律神経のバランスが乱れた影響が大きく、こういった精神面への影響も大きいと考えられます。
肌の色が悪い
5つ目が、
肌の色が悪くなった
ということ。
これはご本人が自覚されており、最近肌のいろがどす黒いというか、少し茶色味ががっていると感じていたそうです。
水分を摂りすぎた方の特徴の1つに、肌の色の変化が該当するんですね。血行が良い時と悪い時って、なんとなく違うのわかるじゃないですか?それが顕著に表れた感じ。

これ、別のクライアントさんでも顕著にみられました。別の女性の場合は、白い状態から自然な色へと変わったんですね。
カメラの都合であったり、撮影してから調整したわけでもなく、ダイエットに成功すると自然とこの肌の色の違いが出ました。
その他
その他に見られた変化は、以下の通り。
・やる気があまり起こらない
・体がかなり硬い
・寝つきが悪いし、1時間おきに目が覚める
・ウエストが10cm以上太くなった
・朝目覚めたときからだるい
・手足が常にパンパン
・記憶力が悪くなった
こういったことが、1日4リットルの水を飲み始めてから起こった可能性がありました。
クライアントさんの身心の変化を見て、
運動などで大量の汗をかく習慣がない方は、1日4リットルの水を飲むのは多すぎる
ということがはっきりと言えます。
ではそもそも、1日どのくらいの水分量を摂ることが適切なのでしょうか?
1日の水分摂取量の目安
僕が参考としているのは「「水分の摂りすぎ」は今すぐやめなさい」を書かれた「石原 結實先生」の考え方なんですね。
結論から言えば、
1日1,100ml ~ 1,600mlが適量
です。
この数値に至る考え方は、以下の通り。
1日の水分排出量
まず最初に、体内から出ていく1日の水分量はこちら。
肺 | 400ml |
皮膚 | 600ml |
小・大便 | 1,100~1,600ml |
合計 | 2,100~2,600ml |
“運動をしない状態”で、これだけの水分量が自然に体外に出る。もし運動をする方であれば、発汗量にあわせて上積みされるわけなんですね。次は、水分の摂取量。
1日の水分摂取量
“飲み物以外”で摂取している1日の水分量は、以下の通り。
食事 | 800ml |
代謝水 | 300ml |
合計 | 1,000~1,500ml |

代謝水というのは、脂肪や糖質などを分解するときに出る水分のことです。
整理すると…
1日の水分排出量 | 2,100~2,600ml |
1日の水分摂取量 | 1,000~1,500ml |
差 | 1,100~1,600ml |
このようになるんですね。つまり、運動をしていない方の1日の水分量は、
約1.5リットルが目安
となります。
もちろん年齢や代謝機能によって変動はありますが、多く見積もっても2リットル以下。
運動や汗をかく習慣がなかったクライアントさんにとって、1日4リットルは過剰であり、不調が出るのはある意味当然だったといえそうです。
1日4リットルの水を飲み続けた女性に指導したこと
ご相談を受けたクライアントさんは、水分量を適量まで下げ、3ヶ月間で以下のような変化が出ました。
・体重が約7kg減る
・1週間で心拍数が上がりづらくなった
・疲労感やだるさも日を追うごとに軽減
・精神的に楽になり、非常に安定した
・むくみが軽減し、身体が柔らかくなった
・食欲が以前よりも減り、食べる量が減った
・体も軽く、毎日健康で快適に過ごせている
ご指導した具体的な内容は、以下の通り。
サウナスーツを着て体操&有酸素運動
パーソナルトレーニングでの一番の目的は、
溜まっている水分を、汗をかいて出す
ということ。
筋トレなども徐々に行いましたが、まず最初に行ったのは「体操」と「有酸素運動」を掛け合わせた方法。具体的な内容は、以下の通り。
1、胸を出し入れする
1、脚を肩幅に開いて立つ
2、胸を突き出し、肩甲骨を寄せる
3、胸にしわをよせ、肩甲骨を離す
4、これを1分間行う
2、その場で弾みつつ前方をパンチ
1、脚を肩幅に開いて立つ
2、その場で小さく弾み、前側をパンチする
3、これを1分間行う
3、腕を前後に大きく動かす
1、脚を肩幅に開いて立つ
2、背中を丸め、両手の甲をあわせて前に伸ばす
3、肘を体側に引き、胸を軽く突き出す
4、これを1分間行う
4、その場で弾みつつ前方をパンチ
1、脚を肩幅に開いて立つ
2、その場で小さく弾み、前側をパンチする
3、これを1分間行う
5、腕回し
1、脚を肩幅に開いて立つ
2、膝を屈伸させつつ、身体の前で腕を回す
3、これを1分間行う
6、その場で弾みつつ前方をパンチ
1、脚を肩幅に開いて立つ
2、その場で小さく弾み、前側をパンチする
3、これを1分間行う
こんなイメージで、間に休憩をはさみながら実施。すると、パーソナルを重ねるごとに呼吸が上がらなくなり、発汗量が増えて体重も減っていきました。
セッション前後などで体重を小まめに計測しましたが、体重減少に比例して呼吸が乱れにくく、疲労感も軽減していってましたね。
サウナスーツを着てサーキットトレーニング
体操×有酸素運動に慣れてきたら、次はサウナスーツを着た状態でサーキットトレーニングを実施。
これも、より発汗をさせるため。具体的な方法のイメージは以下の記事で紹介しているので、よかったらこちらを参考にしてご覧ください。

2022.04.05
太ももを3ヶ月で-10センチ以上細くする6つの方法
自分の太ももがパンパンで太い。そんな太ももを見るたびに「早く細くしたいし、3ヶ月ぐらいでどうにかならないかな…」と考えたりしませんか? 現場でもそういったご相談を受けることがありますが、実際に3ヶ月間で「ダイエット」や「トレーニング」などに励み、-11cmの太もも痩せに成功した方がいるんですね...
サーキットトレーニングを導入してから、体重の減りもかなり早くなりました。
先ほどもお伝えしましたが、結果的には3ヶ月で7kg体重が落ちたんですね。
厚着でウォーキング
上記の内容はセッション内で行いましたが、ご自身ではサウナスーツなどを着込んで、
・ウォーキング
・ジョギング
・部屋の掃除
などの汗をかく運動を実施してもらいました。
お風呂やサウナで汗をかく
運動以外では、
・お風呂に長時間浸かる
・サウナや岩盤浴に行く
などで発汗し、余分な水分を出す。こういったことを徹底していきました。
1日1~1.5リットルに水分を控える
そして普段の水分量は、
1日1~1.5リットルほどの水分に制限
しました。
ここまでお伝えした、
・さまざまな方法で発汗する
・水分量を適量まで減らす
ということを実施し、結果的に体重が3ヶ月で-7kg。その他の変化については、
・重だるさが改善して、身体がスッキリした
・心拍数も上がりづらく、息切れが改善した
・不安感も軽減し、気持ちも穏やかになった
・むくみも改善し、ウエストも10cm以上細くなった
・疲れにくくなり、仕事も楽しく感じるようになった
など、非常に多くの変化が見られたんですね。
逆の言い方をすれば、
水分を過剰に摂ると、マイナスになることが十分あり得る
ということ。
1日4リットル水分を摂っている方は、本当にそれが自分の体にとってプラスになっているのかを考え直してほしいなと思います。
絶対やめて!1日4リットルの水を飲み続けた結果起こった身心の変化のまとめ
この記事では、1日4リットルの水を飲み続けた結果起こった身心の変化について解説しました。
・水分の摂りすぎは、自律神経のバランスを乱す
・その結果、さまざまな不調が出る可能性
・適切な1日の水分摂取量は、約1.5リットル前後
・クライアントさんの場合、水分を減らすと3ヶ月で-7kg
・身心の不調が改善した
特にダイエットしたい方や、モデル体型を目指す方。モデルさんがやっているからと、過剰に水分を摂りがち。気持ちはすごくわかるんですけどね。ただそれが、理想の自分とは真逆の成果につながる可能性も。
過剰は行動は、必ずどこかで歪みを生んでしまう。もっと自然な行動で変われる方法があり、それを知って本当の意味で理想のカラダに近づいてほしいですね。
今回の内容が、水分の摂りすぎで悩む方の参考になれば嬉しく思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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